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「子供の純粋な姿って、本当に癒されますよね。いつも動画投稿ありがとうございます」  女の子はまっすぐな瞳を貞雄に向けたあと、腰を下ろして輝也に手を差し出す。 「わぁ〜。テルちゃん可愛い。お姉さんと握手しよう」  輝也は笑顔でそれに応じていた。 「あのう。すいません。そのチャンネルって誰が」  貞雄はおそるおそる尋ねた。 「え、お母さんじゃないんですか。たまに女の人の声が入ってますよね」  その声を聞かせてもらうと、ビンゴだった。  並木の声に間違いない。  貞雄は女の子の夢を壊さないように、 「そうそう。妻が投稿してるんだった」   なんとか取り繕った。 「これからも応援してます」  去っていった女の子を見送ると、貞雄はすぐにスマートフォンを取り出した。  テルちゃんスマイルチャンネルの再生数や登録者数を確認する。  ニューチューブは再生時間や登録人数に応じて収益が発生する。  それを計算したのだ。  その結果・・・・・・  並木は毎月十万円ほどの収益を懐に入れていたことになる――他人の子供を利用して。
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