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「いや、なんでもないよ。もう寝よう」
貞雄は輝也を床に下ろした。あとで言い訳を考えることにする。
「はーい」
息子は無垢な声で返事をした。
だがそのあと、ひひひ、とイタズラ小僧の表情をみせた。白い歯をのぞかせている。
その顔を見て、貞雄はすぐに意味を理解した。
「何を隠してるんだ?」
「さて、なんでしょう。ひひ」
息子はかまってほしいとき、必ず何かを隠すのだ。
スマートフォンや財布、時計にハンカチ――
何かを隠し、自分に振り向いてもらおうとする。
「ええっと・・・・・・」
貞雄は周囲を見た。しばらく目線を部屋中に配ると、すぐに隠し物がわかった。
「リモコンだろう」
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