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リモコンが枕の裏に隠してあったのを見つけ、ようやく輝也を寝かしつけた。
部屋の電気は消灯したが、貞雄はまったく眠れなかった。
妙な不安が全身にのしかかってくる。
おそらく、輝也だ。
輝也が並木の家で世話になっていた時、いつもの癖でかくそうとしたのだ。
本人に悪気はないだろう。吸入薬の意味も分かってないからだ。
よりによって、家に持ち帰って隠すとは。
しかもそれが並木の生命線であるアイテム。
おそらく、輝也は隠したことを忘れてしまったのだ。
本人が忘れてしまうことは今までにもあった。
「うう・・・・・・」
頭が痛い。貞雄は重たい息を吐いた。無理やり目を閉じる。
意識が薄れ、仄かな闇の中に落ちていった。
返して・・・・・・
返して・・・・・・
悶え苦しむ並木がゾンビのような姿で、貞雄を追いかけ回す。
深い闇のおぞましい森の中で貞雄は必死に逃げる。
返して、返して、返して
カエシテカエシテカエシテカエシテカエシテ!!!!!!
腐敗した並木が貞雄の背後から絡みつく。
うわぁぁああああああああああああああ
――はっ。
悪夢を見ていた。全身ぐっしょりと汗をかいている。
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