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見抜けぬ嘘と厄介事
二十時を少し過ぎた頃、客が来ないので店長は早目に店じまいをしようとしていた。
「帳簿も付け足たし在庫確認もした。家の事はかまいたちに任せてっけどたまに早く帰っても良いだろ」
店の明かりを消し、店長が帰ろうとした時だった。店の前に少年が佇んでいた。
手入れのされてないボサボサの髪と、着崩れた服を着ている少年を見て店長は訝しそうな顔をする。
「何者だ、てめえ? ただのガキじゃねえだろ」
拳を鳴らしながら店長は少年に近づく。
「夜分遅くにすみません。前に景壱さんに助けていただいた妖怪ですよ。また、頼みがあって来たんですが、人に化けるのが苦手でだらしない格好になってしまいました。すみません」
頭を下げる少年を見ながら店長は考える素振りを見せた。
「あいつも沢山妖怪を助けてるからな。確認とるから名前教えてくれ」
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