見抜けぬ嘘と厄介事

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「申し遅れました。すねこすりの羅擦(らさつ)と申します」 少年から距離を保ったまま店長はスマホを取り出し景壱に電話をかける。 だが、暫くかけても一向に電話が繋がる様子はなかった。 「たく、九時前だってのに、あいつ寝ちまったのか? 悪い、また明日来てくれねえか?」 そう言って店長はスマホをポケットにしまいながらも少年から目を離さなかった。 相手の身元が分からない以上信用出来ないのだろう。 「なら、仕方ありませんね。また明日、早い時間に来ます。景壱さんには羅察が来たとお伝え下さい」 少年はそう言って暗闇の中に消えていく。 「強い力は感じなかったが用心しとくか」 暗闇を暫く店長は睨んでいたが、その時スマホが鳴る。 景壱から電話がかかって来たのである。 「店長、何かあったんですか?」 「変な時間に悪いな、確認したいことがあったんだよ」
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