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店長と少年が出会う数時間前、ナナシは町を彷徨っていた。
魂だけの存在なので誰にも姿を見られる事も、触れられる事もなく、自由気ままに歩き回っていたのである。
「へえ夜中でも明るいんだな。だから、人も無駄に起きてるんだ。困ったな戦も無くなったのか死体も無いし、体をどうしたものか……」
「お困りのようですね。力を貸しましょうか?」
艶のある黒髪の青年が、にこやかに微笑みかける。
「あんた俺が見えるのか? 俺に手を貸して何を欲しいの?」
「はい、ずっと見て居ましたよ。あのお方は泳がせておけと言いましたが、面白い事を思い付いたのでそれに付きあっていただきたいのです」
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