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ナナシはにやけた顔を轟に近づけ尋ねる。
「もし嫌だと言って、ここであんたを引き裂いたらどうする?」
指先をうねうねと生き物の様に動かしながらナナシはアスファルトの地面を撫でると、アスファルトは大きく抉れ、周囲から人々の叫びが上がる。
だが、轟は平然としたまま微動だにせずに答える。
「もし、貴方が望むなら好きにしてもらって構いませんよ。ただ、私の言うことに従っていただければ貴方に至上の喜びを教えてあげましょう」
それを聞いてナナシは声をあげて笑う。
「気に入った。あんたに付き合ってやる。何をすれば良い?」
こうしてナナシは轟の指示に従う事になったのだ。
頼まれた事は二つ、一つは時間をかけて良いので弱い妖怪のふりをして景壱の店に潜り込む事。
二つ目は、轟の指示が有れば災難男以外の命を奪う事であった。
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