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普通ならば見知らぬ他人の命を奪う事に対し、躊躇い
を見せるものだがナナシは嬉々として快諾した。
「他の連中は単純ですが、店長は疑り深い性格なので、一芝居打ちましょう。あなたは災難男に助けられたすねこすりを演じて下さい。きっと今日は帰されますが、こちらで上手くやります」
そう言って轟は式紙を指に挟むと遠くに飛ばす様に投げる。
式紙は意思を持つように飛んで行くと店に居た店長の元に飛んでいき彼女のスマホに貼り付いたのだ。
ここまで言えば分かるだろうが、店長に掛かって来た景壱からの電話は景壱から掛かって来たのではなく、轟が仕組んだものであったのだ。
「へへ、これからが面白いんだ。綺麗な硝子細工を叩き落としたようにめちゃくちゃにしてあげるよ」
ナナシは離れた場所で店長を眺め無邪気に笑みを浮かべて居た。
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