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「それは一つの未来だ」
変声期を通した時の様な妙に高い声が聞こえる。
景壱は周囲を見渡し、声の主を探す。
「探しても無駄だ私はここに居ない。たまたま力を使って人の頭を覗いてたらお前を見つけて干渉しただけだからな」
「よく分かりませんが、あなたは何者なんですか? それにこれが未来だって言いましたがどういう事ですか?」
頭が少しだけすっきりして幾つか湧いた疑問をそのまま相手にぶつける。
相手はため息を吐いた後、ゆっくりと話し始めた。
「一つだけ答えてやる。この光景は君が心を読んだ妖怪の心の内に秘めた願望でしかない。だが、奴はそれを成し遂げる力が有る。ほっとけば、必ずそれは起きる事なんだよ災難男君」
「何で俺の事を……」
「つまらない事を気にするな」
景壱が尋ねようとすると相手はこちらの声を遮るように言い放った。
「君に手を貸してやる。はい、と答える以外選択肢はないと思うがね」
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