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赤い水に溶かされていく様に景壱の体は消えていく。そして次第に何もかも感じなくなるのだった……。
嫌な気持ちを引き摺ったまま景壱は飛び跳ねる様にして起き上がる。
どうやら店の茶の間に敷かれた布団で寝ていた様だ。店長が敷いてくれたのだろう。
何か変な夢を見てた気がするが何も思い出せない。
「気が付きましたか景壱さん?」
台所からリリーが姿を見せる。
「あれ、リリーさんお休みじゃありませんでしたか?」
「景壱さんが倒れたと聞いて心配になって来たんです。具合はどうですか?」
「もう何ともありません大丈夫です!」
具合は悪くないが何とも言えない嫌な気持ちだけが残っている。この気持ちはなんだろうか?
どうして気を失ったかも思い出せず景壱は一人首を傾げるのだった。
「そうそう店長が今日は葵さんも来るみたいで手が足りてるから帰っていいって言ってましたよ。今お粥作ったので食べたら帰りましょう」
ここで帰らなければ店長に殴られるだろうと景壱は考えていた。店長の帰ってもいいは、強制なのだ。
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