遠くの騒ぎと非日常な日常

13/62
前へ
/151ページ
次へ
閻魔の名前を聞いた瞬間景壱の頭に疑問符が浮かんだ。 ただの妖怪の名を何故、閻魔様が隠しているのだろうかと。  「誰も退治出来ない厄介な妖怪らしくてな。このままだと人死が出るからって事で、千年前に閻魔や他の十王が直々に出向いて名を奪って、ナナシっと仮の名を与えたそうだ」 「仮の名を与えるのに意味は有るんですか?」 「完全に名を奪えば本来の力を奪えるが、この世に縛られなくなる。何者でもなくなるからこそ死ななくなる。だから、適当の名を付けたらしいが何故か却って力を得たらしい」 景壱は以前、敵対したこわいを思い出していた。 人である小金井と結託し閻魔の力を得ようとした手強い相手であった。 今回も閻魔が関係してるのは偶然なのだろうか? 「半月したら地獄と現世の境目が曖昧になるから、そん時閻魔にナナシの本当の名前を教えてもらう。そしたらナナシに名を返せば多少弱くなんだろ。そのすきに殴ってとっちめてやるさ」
/151ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加