はめられた災難と奇妙な仲間の妖商売記〜死者の掟と地獄の王〜

遠くの騒ぎと非日常な日常

店長は少し悩んでから首を横に振る。

「もうちょい情報を精査してからで良いだろ。間違えて動いたら皆を危険に晒す事になるからな」

先程とは真逆な事を言ってると思ったが景壱は確信していた。今の店長は間違いなく正気であると。

店長の言動にリリーは戸惑っている様であったが同時に安堵してる様でもあった。

「あはは、二人して間抜けな顔してんじゃねえよ。可笑しすぎて腹が捩れるだろうが」

笑いながら店長は二人を残し、また二階に上がっていく。

「羅擦さんてもしかして危ない人なんですかね？」

リリーが小さな声で景壱に尋ねる。

「分かりません。確かめてみますか？」

景壱達は足音を立てぬ様に二階に上がると店長と羅擦の声の聞こえる襖の前で身を屈めて二人の会話を聞く事にした。