遠くの騒ぎと非日常な日常

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「確かに、もこちゃんなら怪しまれずに監視出来るね。でも、麗香さんに迷惑かけたかな」 「景壱様は何時も一人で背負い過ぎです! 仲間なんですから頼ったって良いんですよ。麗香にも私にも!!」 愛理に嗜められながら景壱はよく自分の事を見ているなと感心していた。 「そうだよね。ありがとう愛理」 「礼など不要です。それよりこれで遊んで下さい」 噛むと音の鳴るボールを景壱に渡すと愛理はまた犬に戻る。 最初からこれが目的だったのか? と苦笑いを浮かべながら景壱はボールを投げてやるのだった。 ほの暗い室内を申し訳程度に証明が照らしている。 壁に取り付けられた棚にはウォッカ、ジン、ウイスキー、リキュール等の酒が数十種類も並べられ、彫りの深い顔の男が器具を使ってカクテルを作っている。 ここは小さなバーで今は客が来て居なかったのだが、二人同時にカウンターの席に並ぶように座った。 「貴女がヘンリエッタさんですか?」 着物を着た長身の女性が右隣に座る小柄な女性に尋ねる。 「そう言うあんたは秦広王だな。待ち合わせ二十一時きっかりに来るとは真面目だね。で、何のようだ」
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