遠くの騒ぎと非日常な日常

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地獄の王の一人が隣に居ると言うのにヘンリエッタは物怖じせず堂々としている。 「約束通り災難男、日比野景壱には接触しましたか?」 「ああ、進捗の報告か? あいつの精神の中でなら会ったな。やはり、ナナシはあそこに居た。明日、飛行機で日本に向かうつもりだよ」 「ナナシはあまりにも危険です。私もできる限り力を貸しますのでどうかナナシを捕らえてください」 席から立ち秦広王はヘンリエッタに頭を下げると、ヘンリエッタはチッチと舌を鳴らす。 「頭を下げられても嬉しくないんだよ。前に提示した二つ条件を飲んでくれればいい」 「現金百億ドルと貴女の死後、地獄に落とせば良いんですね。現金は分かりますが、何故地獄に?」 ヘンリエッタはバーテンダーからウォッカの瓶を受け取り、飲み干すと怪しく笑う。 「つまらない人の世より地獄を支配したいからさ」
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