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 ローションがドラッグストアに置いてあるのを今日という日まで俺は知らなかった。  避妊具の隣にあるソレはとても派手な色をしていて、温感やらストロベリーの香りから無香の物まで色々ある。 「そもそも何本買えばいいんだ……」  痛いのは嫌だけど何本も一気に購入するのは結構勇気が必要だ。どれだけお前は下手くそなんだ?ローション使ってまで彼女に突っ込みたいのかと思われても心外だ。  ただローションというのは一度開けたらいつまで利用可能なのか?開封してから冷蔵庫に入れておくなら2本でもいいかもしれない。だがしかし、5本。  それだけ買うと何となく恥ずかしいから、他の物もたくさん購入して会計を済ませた。  家に帰るとすぐにシャワーを浴びて部屋着になると、大海原先生のDVDを流しながらまたしても山口くんとの絡みを見た。  昨日も見たはずなのに早くも勃起してしまい、急いで下半身丸出しになると買ってきたばかりのローションを取り出す。奇抜なオレンジ色のボトルは無香料のもの、そして、温感ローション。熱くなれ。   「初ローション……」  ドゥルンとモンスターの鼻水的なものを手に絞り出し、山口くんのアナルが画面いっぱいに出るのを見ると停止した。  ケツとは、自分じゃ見れない場所にある。手にドゥルンを乗せたまま鏡を引っ張り出してその上に跨がると、頭の中では山口くん並のアナルを思い浮かべていたのだ。でも、俺は、初めて自分の現実を知ることになる。 「ギャ───ッ!!!」  なっ、な、なんなんだ、なんなんだコレは!? 「シ……シクラ…メンの……茎の、色……」  ドゥルンは手からぼたぼたと溢れ落ち、また課題が出てきたことに顎が外れそうになった。  どうする、どうするんだ俺は。どうしたらいいのだ? 「助けてけれ!!助けて!!誰かっ!」  こんな場所を稲葉課長に見せたら大変な事になる。  色素沈着恐るべし、山口くん羨ましい。  泣きそうになりながらティッシュで手を拭くと膝を抱えて今見た衝撃的な光景を何度も思い出す。  ただ歩いたり走ったりしただけなのに、なぜこんな事になってしまったのだろう?なぜシクラメンの茎の色になっていたのだろうか?そもそもいつの間に?  世の中のどのくらいの人が山口くんなんだろうか?もしかしたら、シクラメン属に入るのは数%かもしれない。 「どうするんだ……」  とにかく広げて、俺が上になるしかない。  出張の時はビジネスホテルだから、バスルームで素早く広げ、風呂を済ませたら稲葉課長の上になる。よし、そうするしかない。  くよくよしていても何も始まらない、決戦まではもう数日しかないのだから。
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