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 発注計画をする間も脳内散歩は続いている。この脳内散歩は昔からでママも病気じゃないかと悩んでいたっけ。そしてついつい口から出てきてしまう。ビュルって、ん?ビュルって少し卑猥かもしれない。  そう言えば最近オナってない。もう勃たないかもしれないな……。 「勃起しなかったら病院行くしかねぇべな」 「カモノハシ……仕事中だ」 「はい!」  え?俺、今何か言った?今何を考えてたんだっけ。 「ニワトリ、たまご、ビュル?」 「カモノハシ、少し口を閉じろ」 「はい!」  隣で笑いを噛み殺す仲村は顔が真っ赤になっている。そして稲葉課長はパソコンのキーボードをカチャカチャやっている。  俺も早く仕事しないと、早く仕事しないと、頑張らないと。 「ファイト〜、いっぱ〜」 「カモノハシ、これもやれ」 「はい!」  そんなこんなで漸くランチタイムになると、仲村と一緒に近くのとんかつ屋へと急いだ。  お昼はガッツリ食べたい派の俺は、週に2回はとんかつを食べている。仲村と共に席に座り、店員にロースとんかつご飯大盛りをお願いして水を飲みながら待った。 「今日の朝さ〜稲葉課長と電車一緒になっちゃってさあ」 「うわ、災難だ」 「だろ?もう生きてる心地がしなかったよ」 「いやいやいや、倫也じゃなくて稲葉課長が災難だったの」 「へ!?」 「へ!?じゃないよ、どんだけサポートされてんだよ?」 「何を?」  考えても何をサポートされていると言いたいのかさっぱり分からない。ミスは確かに人より少し多めだが、その分人より怒られているし反省して何とかしようと思っている。  それでもミスするけど。 「稲葉課長って陰でなんて言われてるか知ってる?」  仲村は苦笑いしながら水を飲み、俺は当然という顔をしながら口を開いた。 「イケメン鬼」 「それ言ってんの倫也だけな?」 「ぬぉっ?」 「カモノハシの親って言われてんの!だいたい鬼って、稲葉課長は普通だから」 「え……カモノハシの親?」  運ばれてきたロースとんかつにソースをかけて、仲村が言った「カモノハシの親」を考えてみる。それって俺がカモノハシみたいじゃないか。 「イケメン鬼なんて褒めてるんだか貶してるんだか分からないニックネーム、倫也以外の人間が付けるかよ」 「え〜」 「しかも仕事中に脳内散歩してんじゃないよ」 「あ、あれはやろうと思ってるんじゃないんだもん」 「倫也が脳内散歩中にいちいち周りに報告するから、稲葉課長はその度に聞こえてるよ!って言ってるみたいなもんじゃん」 「うわー、なに?なに?その認識」  キャベツに胡麻ドレッシングを掛け、仲村の衝撃的な発言に鼻が膨らむのが分かった。そんなに独り言多い?出ることはある。出ない事もある。 「仕事中にさ、勃起しなかったら病院とか普通は言わないだろ〜」 「え?それ俺言ったの?」 「言ったじゃん、お前、丸山ちゃんからすっげー冷たい目で見られてたよ」 「そんなぁ」  丸山ちゃん、勃起なんて言葉を知っているんですか?23歳の可憐な人はそんな言葉知ってるんですか? 「幻滅だなや」 「訛ってるよ!」  やばい、宮城の言葉がついつい出てしまった。  
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