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「で、私も組織の内部に入れるんですか」
「いいえ。それは危険を伴うので、由紀恵ちゃんは残って、組織内部にハッキングして欲しいの」
そんなの余裕、と頭の中で叫び、頷く由紀恵。
「私と拓は、組織内部へ侵入するわ。ちなみに私は、上官からは外されているけど、まだ組織の一員なの。だから誰にも疑われず正面から入る。拓は見つからないように裏から侵入する」
少し心配な表情で拓也のほうを見る由紀恵は「大丈夫なの?」と訊いた。
「問題無い。あの建物の構造は熟知している。誰にも気づかれずに侵入するのは簡単だよ」
「組織を解体するといっても、誰も殺すつもりはない。組織の秘密を世に暴き、存続できないようにする。そのためにも、由紀恵の能力が欠かせないんだ」
「そ、それでか。私、超重要じゃん」
そして、各々の準備を整えた三人は、再び雪島家のリビングに集合した。
三人は手を取り合い輪を作る。拓也は、尋子と由紀恵の顔を交互に見ると、コクリと頷いた。
「平和のために――」
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