人間?

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人間?

 自分の生きる意味とはなんだろうか。他人が努力してると自分を否定されている感覚に陥る。他人が結果を残すと才能という言葉で現実から目を逸らす。他人が自分に優しくすると見下されていると感じる。こんな人間なのだ。私は。  私は大学受験を半年後に控えている。推薦を貰える程の努力をしていなかったから一般入試でしか大学を受験できない。推薦を貰っている奴等は私より頭の悪いバカばかりだ。なのに私より良い大学に行ける。この状況が腹が立つ。だが、それは単に私の努力不足によるものだ。それを理解出来るからこそ腹を立てている自分に嫌気が差す。こんなことを考えながら勉強をしている。成績が上がらない。当たり前だ。椅子に座ってペンを持ち、問題集を開いてイタズラに時間の経過を待っているのだから。だから、周りは私の成績が上がらないことを不思議に感じている。私を慰めて来る。ありふれた言葉で。  半年後、大学受験に落ちた。浪人することにした。周りは反対して来る。「あれだけ勉強して成績が全く上がらなかったんだ。効率が悪いんだ。勉強に向いてないんだ。」慰めてくれた大人たちがやっと本音を曝け出してきた。気持ち悪い。  1年後、現役時志望していた大学の一つランク落とした大学に合格した。周りの人間たちは喜んでくれた。おめでとうと言ってきた。ありがとうと返した。ランク落としたのにおめでとうと言われることが気持ち悪いと感じながら。裏では浪人失敗したと嘲笑していることが容易に想像出来る。裏のことだから分かるわけないのに。  大学生活は、新たな友達が出来た。だが、高校までの友達とは違い上辺だけの友達だ。いや、高校までの友達よりも上辺だけの友達だ。核心に触れ合わないない様にする。核心を触れて来る様な人とは距離を置くことが大学では容易に出来る様になったから。私は勉強が大学の中でも下の下だ。それなのに、自分より頭の悪い奴等の集まりだと見下している。頭の良さは勉強が出来るかどうかではないと勉強が出来る人が言うからこそ意味が生じることを思いながら。  就職活動が始まった。どこも内定がもらえなかった。コミュニケーション能力が低く、私という人間すらも他人に説明することすら出来ないのだから当たり前だ。周りは一流企業から内定を貰っただの言っている。うるさい。  私はただ何者かになりたかっただけなんだ。他の人とは違う唯一性が欲しかっただけなんだ。そして、私を認めて欲しかったんだ。  こんなだが、楽しいことも沢山あった。楽しいことの方が多かった。楽しい人生だった。これからの人生の楽しいことも辛いことも捨てた。
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