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なんとなく、恵の頭を撫でるとくすぐったそうに身を縮めたあと、俺を見上げる黒いまつ毛に覆われた瞳。
…ああ、可愛い。
怒っていても、笑っていても…こうやって弱っていても。
四六時中愛おしい彼女と、一緒に過ごせる穏やかな時間。
…身体を繋げていなくたって、恵とならただ隣に座れているだけですごく多幸感を感じられるから凄い。
「…要、ハワイ連れてきてくれてありがとうね、」
「お前、こんなにクッタクタにさせられてよくありがとうとか言えんな?」
あはは、と茶化して笑ったのに、恵は怒るそぶりもなく優しく微笑む。
「…だって、要はいつも沢山のファンに幸せを届けてるんだもん…。それなのに今日は私だけのためにこんなコテージ予約してくれて。
私だけを見てくれて、私だけを求めてくれる…なんて、私にとってこれ以上の幸せってないよ?」
「…っ、」
「だから、ありがとう」って首を傾げる恵になんだか鼻の奥がツンとした。
普段長く一緒にいてやれない俺に怒ることもせず、ただ支えてくれて…。
彼女でもないのにずっとそばにいてくれたあの頃から…俺だって恵に「ありがとう」しかない。
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