クズな君とは、さよならだ。【完】

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その後、質疑応答の時間が設けられたが… この数時間で起こったことが、鮮明すぎる夢だと言われてもすんなり信じられる。 それくらい、私が生きてきた25年間で一番の衝撃だったのだ。 「どんな人なんですか?」と聞かれれば、 『しっかり者なのにどこか危うくて…いつも心配になります。 我儘な俺を受け入れてくれて、ただの幼馴染という立場でもずっと隣にいてくれる…心が広くてすごく優しい人です。」 なんて…惚気とも取れるような発言を残す。 「記事には美女と掲載されていましたが、芸能人で言うと誰に似てるとかありますか?」 そんな質問には、絶対に「美女じゃないです」って答えると思ったんだ。 だって、小さい時から会うたびにブスブスとしつこく言ってきた男だ。そんな悪魔のようなクズなんだ。 なのに… 『んー、芸能人で…誰かに似てると感じたことはないですけど…。 …美人ですよ?俺以外には見せたくないと思うくらい。』 …照れたように笑う姿に…ストンと心臓に矢が刺さる。 嘘だ、夢だ。こんなの… ブスだって、子どもの頃から…顔隠せって… 自分に自信が持てなくて…いつも周りからの視線が怖くて… 辛かったのに、怖かったのに… …もしかして、全部…ヤキモチだったの? なんて淡い期待で全ての暗い思い出が消え去ってしまう。 そのくらい、私にとって要は良くも悪くも全てなんだ。 「ショックを受けたファンも多いかと思いますが、何かメッセージはありますか?」 その質問には流石の要も表情を曇らせ、言葉を詰まらせる。
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