クズな君とは、さよならだ。【完】

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会見が終わった数時間後、ホテルの部屋のチャイムがなり、ドキドキしながらドアを開けると… 「遅え、早く開けろ。」 「…」 とてもさっきまで幸せほんわか結婚会見をしていたとは思えない要が仏頂面で立っていて、 「…ったく、手、塞がってるんだから早くしろよな?」 「…あの…それ、」 綺麗な顔に相反して態度の悪い彼は二段重ねの可愛いケーキを両手で抱えていた。 ポカンとする私に、照れたようにそっぽを向くと「なにぼけっとしてんだよ今日、25歳の誕生日だろ?」って。 私だって忘れかけてたのに…こいつ覚えてたんだ、って…それだけで感動する私は甘いだろうか? 今までお祝いなんてしてもらったことなかった。 それが、さっきの会見に引き続きこんなサプライズをしてもらえるなんて、気を抜けば涙が出そうだ。 室内に入って、テーブルにケーキを置いた要は、私の方に振り返り、「会見見たか?」と真顔で確認してくる。 「…見た…けど」 「なら、話が早いわ。結婚するぞ、恵。」 「…っ、」 そ、そんな…すんなり…、 固まって動けないでいる私に眉間の皺を寄せる要は、「俺にプロポーズされてそんな可愛くない反応するのお前くらいだぞ?」とぼやく。 だって…この間…あんな風に別れたのに…次会ってプロポーズだなんて…どう反応すればいいのか分からない。 ずっと…夢に抱いては…現実とかけ離れすぎて諦めてきた…要の奥さんになるということ。 それが現実になって…嬉しいけど、そんなに簡単に受け入れることができないのも事実だ。 さっきの会見での言葉も嬉しかった。けど…あれが本心か…なんてことも信じきれなくて… 本当にこの先、要と一緒にいて幸せになれるかも…正直不安なのだ。 「…」 「…ああ、焦ってぇな。お前のそういうウジウジしたところすげー嫌い。」 「っ、」 「…あ、いや…違くて…ああ、くそっ」 髪の毛をぐしゃりと掴んで顔を歪めた要は、深くため息をついてコートのポケットに手を突っ込んだ。
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