クズな君とは、さよならだ。【完】

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私が言わなかったのは、要の負担になりたくなかったからだ。 要が私のことなんか性処理の相手くらいにしか考えていないと思っていたから… でも、今は違う。 「好きだよ」 「…っ、」 「小さい時から、ずっと。ずっと要のこと大好きだよ。」 「…、なっ…」 素直に言ってもいいのであれば、いくらでも伝えたい。 この拗れて拗れて…拗れまくった私の気持ちを。 目を大きく見開いて固まった要の顔はじわじわと赤みを増し… 「お前の…そういうところが嫌いだ…」 「…、」 好きと言われたかったのに…何故か嫌いと言われてしまった。 目を逸らしていた要は私の左手を掴み、薬指にはまっていたエンゲージリングを親指と中指で挟む。 「…指輪に刻む文字…」 「え?」 「結婚指輪はお前が決めろよ?」 「…文字?」 確か…、指輪の裏には刻印ができる。要はそのことを言っているんだろう。 結婚指輪は、ってことは、この指輪の刻印は要が考えたってことだ。 指輪を外して内側の文字を確認する。 そこには… 【Beloved】 〜最愛の人〜 刻まれた愛の言葉は、…紛れもなく私に向けられたもの。 「…好きとか、…簡単に伝えられる気持ちじゃない…」 「…え?」 「お前みたいに…簡単に言えたら…苦労しねぇんだよ。くそっ」 「…」 耳まで真っ赤。 これが天下の国民的アイドルLUSHのセンター長谷川要だ。 ドラマで、ライブで…愛の言葉を振りまく彼は、   今、この場で私に愛を伝えようと必死にもがいてる。 もうそれだけで十分で。 要となんて絶対に幸せになれないと思っていたのに、一瞬で頂点まで舞い上がった。
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