クズな君とは、さよならだ。【完】

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要の顔をじっと見ていれば、「こっち見るな」って怒った顔で私の顔を胸元に押し付けた。 照れ隠しだって分かっている。そんな彼が可愛くて胸がきゅうっと収縮して…要にバレないように口元を緩ませながら背中に手を回した。 「恵、とりあえず…お前は一生俺と一緒に居ろ。」 「…ただの…幼馴染じゃなく?」 「ふっ…また確認? …ああ、俺の嫁として。一緒に居ろ、恵」 そのセリフを…ずっと待っていた。 要の隣にいる…正当な理由。それが見つかった今、私に断る理由なんてない。 「…はい、喜ん…」 「じゃ、まず仕事辞めろよ?」 「……は?」 喜んで、って答えようとした私の言葉を遮った要は…悪意ゼロでにっこり笑う。 え…ちょっと待って?急に…仕事の話? 要の親も共働きだったし…要は特に専業主婦じゃなきゃイヤ、みたいなこだわりはないと思っていたけど… 「えっと…仕事は…しばらくは続けたいんだけど…?家事は手抜かないようにするから…」 「そういうことじゃねぇ。その職場…あの男いるんだろ、お前を路地に連れ込んでた変態男。」 「変態…って、」 まさかとは思うけど…隅田さんのことだろうか? どうにか誤解を解こうと思ったけど、有無を言わさないキラースマイルについ押し黙るのは、長年の癖みたいなもの。 「浮気は許さねー。家から一歩も出んな。」 「…」 「他の男に顔見せんな、お前は俺だけのものなんだから。」 「…、」 ちょっとしおらしくしたって、要は要。 どんなに顔が良くたって、我儘、自分勝手、俺様で…クズなことに変わりない。これが長谷川要という男。
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