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最後の望み
それから、僕は突然思いついて戦争に行くことにした。僕は王都に、この国にいるべきでない。僕の存在が、どんどん、バーティを狂わせていく。僕が消え去る以外、彼を救う方法はない。
もちろん、母も誰もが大反対したけれど、僕の決意は固く、また国威発揚の観点から言っても、僕の出征を表向き、陛下は止めることができなかった。
僕は戦場で死ぬつもりで、ウラル内海沿いの戦地に向かう前に、オズワルドとルイーズに宛てた遺書を準備し、僕の死後に彼らの元に届くように手配した。
僕の血を引かない子供を、僕の子であるかのように残すのは、どうしても嫌だった。
そして出征の直前、リンダに子供が生まれたという知らせを受け、僕は養子の手続きのためにバークリーに向かう。
バークリーを訪れるのは、きっとこれが最後。もちろん、妻のルイーズに会うのも。
北のバークリーでは、すでに雪がちらついていた。
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