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ぼくが復唱すると、ハチに文学は無理だな、て、アサがまた意地悪く笑う。で、
「智恵子さんはぼくがぼくを保つために、なくてはならない人だった!」
なんて、大袈裟に天を見上げてから、
「なるほど、」
「て、まぁ、」
がっくり、項垂れておどけてみせる。
「まぁ、そんなの、ない。ないない」
「なにそれ! そんなの! わかんないじゃん!」
悲しいことにある程度の現実をわかっているんだろうアサが冷たい一瞥を月子さんに投げる。
ぼくも、仲睦まじい両親とはいいがたいため反証はだせない。けど月子さんと一緒に夢は見たい。
「わかったみたいじゃん、朝彦くん、彼女いるの⁉」
お、反撃!
月子さんがアサに食ってかかる。が、まるで小学生みたいな童顔だからまったく迫力はない。怒る顔もかわいい。
「月子さんは、彼氏がいるの?」
意地悪くアサが返すのに、思わず耳がダンボになる。
いるの⁉︎
見たくれは小学生みたいでも素直にかわいいから、ぼくみたいに淡々と狙っているやつだっているに違いない。派手さはないからそうゆう話題に上がりにくいってだけでそのぶん本気のやつ。
「それは、」
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