春 Gyroscopic

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 「だから、そうゆうんじゃ、」  「どうだかな」  つまらない、みたいな一瞥をぼくに投げて駆けだすアサを、肩をすくめて追いかけた。  反証はだせない、  それでも一抹の希望が、  そんな恋が、  そんな夫婦愛が、  あってほしい、なんていうのはまだまだほんとの恋も愛も知らない若僧には藁にも縋りたい希望だった。  この詩は、ぼくたちの…ぼくの、希望だった。
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