プロローグ

1/1
前へ
/71ページ
次へ

プロローグ

 中学校の授業が終わり、寒い冬風のなか、砂浜沿いの防波堤脇を俺は走っていた。暫く走れば小さな河口があり、そこでUターンして戻るのがいつものコースだ。  右手に見える少し薄暗い太平洋の海は白波がたち、少しうねりを見せている。夕暮れ前のこの時間はサーファーもいなく、海鳥が数羽飛んでいるだけだった。  しばらく走ったところで、海の浅瀬に立っている人がいる事に気がついた。サーファーではないし、釣りをしている人にも見えない。  ……女の子?  その子はブレザーにスカートといった学校帰りのいでたちで、海の中に立っていた……いや、沖へ向かって歩いていた!  俺は慌てて砂浜に飛び降り、女の子を追いかけ海の中に入っていった。  冬の海は冷たいはずだが、そんな事には気を取られず、一心不乱に女の子を追いかけた。  長い髪の毛が強い海風に舞っている。沖へと歩く女の子……。波に足を取られたのか、ふらっと海の中へ消えた!  俺は無我夢中で女の子を追いかける。  女の子は立ち上がり、また沖へと歩いて行く……。  更に大きな強い波がたち、女の子を飲み込むと、女の子は波の中へと消えていった……。  そして俺は……………。  そんな2年前の話を、俺は友達の金山に話をした。
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加