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教室のふしぎな子
かれはいつも窓辺で胡乱げに、窓の外ばかり見ていた。
この小学校の校舎から見る景色は、どこにでもあるありふれた景色にもかかわらず、だ。いつだったかかれに、どうして窓の外ばかり見ているのかと尋ねたことがある。かれは胡乱な目をやめ、誠実そうな目でこう言った。
「窓の外じゃないよ。世界をみている」
大げさだと思った。たかが小学生が、生意気だとも思った。それが四年生のクラス替えから三週間がたったころの、かれの最初の記憶だ。
それ以来、わたしはずっと彼が気になった。べつに友だちになりたいというわけじゃなく、とにかく気になる存在だった。
かれはある意味、危険な小学生と言えたから。
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