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危険な小学生
どういうふうに小学生のかれが危険かというと、べつにかれ自体が暴れるとかというわけではなく、何というか、しぜんに危険、という感じだった。
「歩いていたら、そうなった」
学校の帰り道、家の方向がおなじということもあって、その日はただかれの後ろを歩いてそれは起きた。
ある交差点に差しかかったとき、かれは歩行者用信号が青だったにもかかわらず、そこで止まった。わたしはたしかあのときただ立ち止まって、かれを眺めていた。追い抜いて行くこともできたけど、みょうにかれのうしろ姿が気になっていたからだ。
そのときそれは起きた。いや、起こされた、というべきか。
かれはおもむろに手をあげたのだ。最初、タクシーでもつかまえるのかなと思った。
あの光景はいまだにわたしの記憶から、離れない。
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