観測者と干渉者

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観測者と干渉者

「そいつは観測者による。無知で蒙昧なやつがいま起きたことを理解できない、だから予想もできなかったいいわけさ。世界はすべてのルールに従って動いている。鉄道のダイヤと一緒だ」 「そんなばかな!そしたらなぜ事故が起きるんだ?そんなどこかに運行表みたいのがあって、それが正確に動いているなら」 「きっとだれかがそれをちょっと狂わせたんだろうね」 そんなおかしなことあるわけない、と言おうとしたとき、あの小学校のときの交差点の光景がありありと浮かんでしまって、そのあとはもう何も言えなかった。そしてかれはごく当たり前のような顔をして言葉をつづけた。 「それが観測者と干渉者の違いさ」 それってなんだよ?干渉者って、じゃあきみは世の中の動きに干渉できるってはなし?なんでそんなことがきみにできるんだよ!そう頭のなかでは思ったが、口には出せなかった。だって、あまりにもバカバカし過ぎたから。 「なーんてことをまさか本気にはしてないよな」 「え?あれ?」 えー!それって冗談だったのか?なんだ、かつがれたのか!いやー、あせった。でもまさか冗談を言うとはね。小学校以来こんなのははじめて…いや、もしかしたらかれはいつもそんな冗談を言っていたのかも知れない。ただこっちがそう受け取ったから? 「そう、だから観測者なんだ、きみは」 そうかれは言って、少し笑った。
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