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Phase 13 闇カジノ潜入作戦
10月中旬。
僕と仁美は園田紋次郎から闇カジノの潜入捜査結果を聞いていた。
「結論から言うと、君たちにとってスパイダーへの潜入はかなり危ない。イカサマが常態化していて、客から金を巻き上げている。バックには恐らく地元の暴力団がついているだろう。ちなみに、ビクトリア神戸の選手だけではなく稀勢勝という力士や是枝シオンという映画監督もこの闇カジノの常連客だ。ゴシップ記事だがこの記事を読んで欲しい。」
そう言って園田紋次郎は僕たちに週刊誌のゴシップ記事を差し出した。
【あの日本アカデミー監督も!神戸の闇カジノの実態!】
先日、ビクトリア神戸の選手が闇カジノの常連客というスクープ記事を報道したが、週刊文潮では新たに闇カジノに通っている有名人の情報を入手した。
『万引きファミリア』、『そして母になる』等で日本アカデミー賞を受賞した是枝シオン監督。神戸を拠点に活躍する映画監督だが、彼もまた神戸にある闇カジノ「スパイダー」の常連客である。
特に彼が気に入っているのはルーレットであり、週刊文潮の取材に対して「はい。確かに僕は闇カジノに通っています。特にルーレットでは毎晩100万円の金が飛んだり入ってきたりしています。僕は特に悪いこととは思っていないですね。」と悪びれていない様子で記者に話しかけていた。
一方で、アスリートの闇カジノ汚染も進んでいる。
芦屋出身の力士である稀勢勝もこの闇カジノに通っているのだが、実は槙野高徳と山口貴宏に闇カジノを勧めたのは彼ではないかと噂されている。
週刊文潮では稀勢勝の部屋である鷹乃爪部屋に取材申し込みをしたが、あっさりと断られてしまった。
更に、ビクトリア神戸つながりではクラブのオーナーである楽々ネット社長の四谷浩介も裏カジノの常連客だ。楽々ネットの広報部に問い合わせたところ、「そのような事実はない」と否定しているが、週刊文潮のカメラマンが彼の姿を捉えている。そこには、半グレ集団「タランチュラ」のリーダーである清原敬之に対して大量の札束を渡している様子が写し出されていた。
週刊文潮では、この神戸の闇カジノについて、今後も更に取材を進めていくつもりである。(民岡正義)
「私がゴシップ記事に踊らされるのもどうかと思うが、残念ながらこの記事はすべて事実だ。サッカー選手のみならず映画監督や力士まで巻き込んでいるとなると大変だ。このままだと、半グレ集団の金がすべて暴力団へと流れることになる。ところで古谷君、山谷組のことは知っているな。」
「はい。神戸最大の暴力団です。度重なる抗争と分裂で現在では影を潜めていますが、タランチュラとの結びつきが強く、復活を狙っているとか。」
「正解。その通りだ。」
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