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10月31日
7時00分。
アタシはスマホのアラームで目を醒ました。
スケジュールに記載された「大勝負の日」。それは、闇カジノの摘発のことだった。
「今日の1位はさそり座のあなた!ラッキーアイテムは小さなぬいぐるみ!」
アタシはテレビから流れる星座占いを見ながら、警官服の胸ポケットにヒーローの小さなぬいぐるみを忍ばせた。
7時30分。
僕は目を醒ました。約30分の寝坊である。
歯を磨きながら、自分の顎髭を見渡していた。
「――剃らないと。」
そして、僕はカミソリで顎髭を剃った。それは、自分に対して気合を入れる意味も込められていた。
今日はタランチュラが運営する闇カジノを摘発する日である。
僕はカレンダーに書かれた文字を見た。
「そう言えば、今日は仁美の誕生日だったな。でも、誕生日より仕事の方が大事だ。」
そう言いながら、僕は生田署へと向かった。
9時30分。
生田署にて摘発のブリーフィングが行われる。
今回の摘発の手順は以下の通りだ。
1.まずは僕の部下たちが闇カジノに乗り込んで、ガサ入れを行う。
2.ガサ入れがある程度済んだら、僕と仁美が闇カジノに乗り込む。
3.ディーラーである押尾勇気、そしてタランチュラのリーダーである清原敬之を逮捕する。
手順としてはバタフライへの潜入捜査よりもシンプルである。
しかし、一つでもしくじると水の泡である。だから僕たちは生田署の刑事、そして仁美へと慎重にブリーフィングを行った。
12時00分。
休憩時間である。
10月の下旬となるとこの時間でも肌寒い。更にこの日は生憎の天気となってしまった。
アタシは、古谷君にコンビニの肉まんを差し入れした。
「そろそろ肉まんが美味しい季節ですね。」
「どの辺がプレミアムなのか分からないが、とりあえず美味しいことは分かった。」
「この肉まんで、パワーチャージして下さい。」
「ありがとう。午後からも頑張れるよ。」
そう言って、古谷君は会議室へと戻っていった。
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