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いつも兄さんは俺の先を行った。どんなに努力しても俺は敵わなかった。そして、俺はどこに行っても常に兄さんと比べられ続けた。常に評価にかかわってきた。俺が県でも屈指の有名高校に受かったら、兄さんは東京の国立大学に進学した。
ついに、俺だけが評価されることはなかった。
俺は、どこへ行ってもおまけだった。
――あんたもすごいけど、お兄さんはもっと優秀ね。
――なんでこいつにできることがお前にはできないんだ。
――お前、もっといい大学に入って兄貴を見返してやれよ。
でも、俺は兄さんのことが嫌いではなかった。それどころか、密かに心のどこかで尊敬していた。
――でも、それは兄さんが入院するまで――。
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