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 泣きそうになりながらも抵抗できずにいると、ボクサーパンツの中に右手を入れられ、勃起した中心を引っ張り出された。根元から亀頭に向かって激しく擦られる。 「んんんっ! んんっ!」  障子を閉めているとは言え、鍵はかかっていない。誰かが入ってきたらどうしよう、掘りごたつの下で副社長に抜かれている姿を見られたら。焦燥と羞恥と愉悦が入り交じる。これは何かの罰ゲームか、はたまた自分の願望が見せる夢か。 「我慢するな。すぐにでもイキたいだろ?」 「んんっ……くっ……!」  龍牙が耳たぶに唇を寄せ「怜央、俺の手の中でイってくれ」と囁いた。  セクシーな低音ボイスが脳内を痺れさせ、怜央の理性がプツリと切れる。後はただ、愉悦の中でドクドクと白濁を吐き出すだけ。  惚ける怜央の前に、中心から出てきた悪霊の影がモヤモヤと宙に浮く。すかさず龍牙の左手が真っ直ぐに悪霊を指差し「(めつ)」と言葉を発して悪霊は消滅、除霊は終了した。  気持ちよかった……。でもなんて恥ずかしい除霊なんだ。俺はこの後、どんな顔すりゃいいんだ。  気まずさのあまり何も言えない怜央を、龍牙が左の腕でそっと抱きしめた。 「なあ、怜央は今、恋人はいるのか?」 「いえ、いないっす……」 「そうか。俺もいない」 「はあ……」  ポンポンと肩を叩き、龍牙が浴衣の前を合わせてくれた。それから大きく深呼吸した後、立ち上がってトイレに行き、手を洗う。 「お互い、浮気にならなくてよかったな。朝食の前にもう一度風呂に入ったらどうだ?」 「そうします」  脱力した体をどうにか動かして起き上がっていると「ああ、そうだ。今日は何か予定があるのか?」と問われた。 「今日……。えーと」  ゆうべから龍牙のことで頭がいっぱいなので忘れがちだが、怜央は仕事でここに来たのだ。今日は倉田と奈菜を追って、できるだけ不倫の証拠写真を撮らなければならない。
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