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――――静寂。
見つめ合ったわたしたちの間に奇妙な沈黙が流れる。
「どうしたの。 お化けでもみたような顔してる」
エリザはわたしの反応を楽しんでいるようだ。
頬を緩めると、ゆっくりと大股で近づいてくる。
感情を排した眼。こめかみに刺すような痛みが走る。
彼女は、不意にわたしに向かって手を差し伸べた。思わず、後ずさったもののすでに手遅れ。冷たい手が頬に当てられる。
同時に形のいい唇が耳元に迫り、静かな音を紡いだ。
「協力して欲しいの。 あなたの助けがいる」
研ぎ澄まされた冷たい音色が頭蓋骨を貫き、脳裏に響く。
直後、昇降機の扉が開いた――――。
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