From hell, with love

12/35
前へ
/35ページ
次へ
* 「閣下。 お客様をお連れしました」 エリザはそう言って、木製ドアを変則的なリズムでノックする。 数秒後、『入りたまえ』と中から声が聞こえ、例によってエリザが扉を開け、わたしを中へと促す。 「ほう。思ったより若いな」 出迎えてくれたのは五十前後の恰幅の良い体型の紳士だった。彼はデスクから立ち上がると、にやりと唇を笑わせ、 「英国陸軍工兵隊少将、ジェームズ・モンロウだ。 君の評判は聞いているよ、セバスチャン・ナイトレイ博士。 鋭い推理と洞察力を兼ね備えた有能な人材であり‥‥‥」 モンロウはそこで言葉を切り、軍人特有の探るような目でわたしを一瞥すると再び皮肉な笑みを浮かべて、 「ジャックに魅せられた狂気の医学者(リッパロロジスト)」 「誰からそれを」 「ウィンズロウ氏だ。 よく知っているだろう」 「なるほどね」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加