From hell, with love

13/35
前へ
/35ページ
次へ
数日前に交わした会話を思いだす。 「頼みたいことがある。 君にしか、できないことだ」 飲み慣れた常連たちで賑わうパブのカウンターテーブル。 紫煙の立ち込めるなか、教授は胸ポケットから一枚の書状を取り出して、 「中身を確認するのは店を出てからの方がいい。 内務省からの知らせだ」 「内務省から‥‥‥ 一体何の」 わたしがそう言って眉間に皺を寄せると、教授は言葉を探るように暫く黙り込んでからこう切り出す。 「君も研究者なら、生きているうちに”本物(オリジナル)”をその目で見たいとは思わないか」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加