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L・フォーブズ・ウィンズロウ。
王立内科協会のメンバーで、わたしの元精神的指導者。
ケンブリッジにいた頃、彼はわたしを高く買ってくれていた。
医学部を出てからもわたしは彼に師事し、先月末、彼がイースト・エンドで起きた事件のあらましを手際よくまとめたという手記を参照に、本業の傍らジャックを素材にした短編小説を書いて発表した。
現在、バカ騒ぎと猟奇殺人を好物とする新聞記者たちは彼を誇大妄想に憑りつかれた精神異常者だとし根拠のない噂を流している。だが、わたしの知る限りでは、そんなことは決してない。
事件発生当時、ウィンズロウは間違いなく他の誰よりもジャックの人物像に最も深く迫っていた。
「君には彼がやっていた仕事を一部、引き継いでもらいたいと思っている」
「なぜわたしに」
「人手が足りんのだよ。切り裂きジャック――――あのような異常者の思考回路を論理的に読み解ける人間が英国の捜査機関にはいなくてね。困っていたんだ」
「ジャックが関係している……」
思わず両足に力が入る。モンロウはそれを察したように頷くと、
「まあ、座りたまえ」
そう言って、椅子を勧めてきた。
わたしは複雑な心境を抱きつつ、腰を下ろす。
「突然、訳の分からない状況に置かれて情緒的に混乱しているのは分かる。
順番に説明してやろう。 まあ、ゆっくり肩の力を抜いて聞いてくれ」
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