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第七天、通路。そこに居たのは、天界にいるはずのない者達だった。
「これは……!?」
醜悪な、恐ろしい見た目の悪魔達。それらが、天使達を襲っていた。
「ぎゃああああ!!」
「や、やめ、うわあああ!」
「だ、誰か、助け」
その様子に、サマエルは舌打ちしながら曲刀とハルバードを出す。
「情けない……人間じゃないんだから、抵抗手段はあるだろうが!」
「何故悪魔が天界に!?」
「さあな! ただやる事は分かるだろう!」
「あ、ああ!」
同時に駆け出し、獲物を振るう。自身の身を守るより、まずはそれさえ覚束無い者達を優先していく。
「はっ!」
「ガ……!」
「ギガ……!」
「あ、アズラエル様……!」
「ここは私達に任せて、お前達は早く安全な所へ!」
「は、はい!」
「あ、ありがとうございます!」
礼を述べて駆け出していく天使達を見て、アズラエルは少し安心した様に微笑んだ。
脇からよそ見しているところを狙おうとした悪魔が居たが、それはそちらも見ずに潰した。
「ギャ……!」
「この感じだと、他のところも出てるか……随分と大規模だな……それにしても」
アズラエルはちらりとサマエルの方を見る。
「ふっ」
「ガ……!」
「ア……」
苛烈。その一言に尽きる。サマエルは戦いでも仕事でも、使えるものは全て使う、とは聞いていたが。
「こういう状況で目の当たりにすると……なんというか、凄いな。彼女」
悪魔達はまだ逃げきれていない天使を狙ってくるが、それらを狙おうと一ヶ所に溜まった瞬間に叩き潰される。確かに敵を倒すならば効率はいいかもしれない。
だが。
「はっ!」
「ガ……」
一撃で地に伏した悪魔達を見下ろすサマエル。その目は冷たかった。
「ったく、数ばかり多い……おい、大丈夫か?」
サマエルが振り返ると、そこに居たのは。
「ひっ……!」
「……」
その天使達の目を見て、サマエルは悪魔達の方を見る。
「……早く行け。邪魔だ」
「っ……」
「早く!」
「は、はい……!」
天使達は怯えきった様子でその場を去っていく。
「……問題ない。前よりは慣れたさ」
曲刀とハルバードを大鎌に変え多数の敵と相対するサマエル。
「アズラエル! 避難誘導頼んでもいいか? 敵は私がやる」
「だが……」
「私の方が現場慣れしてる。この程度なら問題は無い」
「……分かった。ただ無理だけはしないでくれよ」
「そっちこそな」
いつものようにぶっきらぼうに返すと、敵の群れの中へと躍り出た。
「今ちょっと機嫌が悪くてな……少しばかり、八つ当たりに付き合ってもらうぞ」
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