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休み時間は始まったばかり。 俺は教室を出て、時間潰しのために、行く当てもなく廊下をフラフラ歩いていた。 と、そこで後ろから呼び止められる。 「あれー、キョーちゃん、トイレ? じゃあ、俺らと連れションしねえ?」 眉を寄せ、振り返ると、そこには「いつものメンツ」がニヤニヤとこちらを見つめていた。 「トイレはやべーよ、見つかるよ」という、瀬野の声を受け、俺は外へと連れ出された。 「キョーちゃん、今日こそ持ってきたか? お、か、ね。 先週小遣いの日だったんだろ?」 薄暗い校舎裏へと連れてこられた俺。 グループのリーダー、村田は薄笑いを浮かべながら、俺に一歩ずつにじり寄る。 校舎の壁を背に、俺はギッと奴を睨みつけた。 その態度が、彼の癇に障ったらしい。 「お前のその態度が気にくわねーんだよ! いじめられてる分際で、ガンつけやがって!!」 胸倉をつかまれる。が、俺は黙って、村田の大きな瞳を刺すように見つめた。 「そんなことでいいのかなー、キョーちゃん。 このままじゃ、お前も不登校になるぞ?」 村田の腰ぎんちゃくの瀬野は、彼の横でニヤニヤと笑みを浮かべている。 俺は村田も嫌いだが、瀬野のこともかなりウザい。 なぜかって、中途半端に頭が切れるから。 村田達いじめグループは皆、バカでケンカっぱやい。 こいつらだけなら、わざとぶたせて証拠を作り、先生か誰かに助けを求めることができた。 でも、ずるがしこい瀬野の助言のせいで、「いじめ」はいつも「仲間内のケンカ」に格下げされる。 結果、俺の前の席だった奴は、誰にも助けてもらえず不登校になった。 だから俺は、力を込めて、村田達を黙って睨む。 ここで俺が折れたら、やつらの思うつぼだ。 だから俺は、絶対折れない。 手を出すこともしない。 ただ、屈しない気持ちを示すために睨むのだ。 例え、どんなに怖くても。
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