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「そんな!ドラゴン討伐は明日なんじゃ……」
「もしかすると、今日中に村を出て、日付が変わった頃に討伐を決行する、という意味だったのかもしれない」
「でも、なんで?」
自分で尋ねた瞬間に、チビリューのことを思い出す。
確かルカが、ドラゴンは仲間の脈の速さを察知して、駆け付ける習性があると言っていた。
実際、俺のことを仲間だと思ったチビリューは、俺の鼓動の高鳴りを感知して、ルカを連れて河川敷まで助けに来てくれた。
「なぁ、シオン、ドラゴンって、チビリューの大きいやつみたいな感じか?」
「あ、あぁ。完全に同一種ではないから、姿は多少違う。が、同じドラゴン科だ」
「だからだよ。ドラゴンは、仲間の鼓動に強く反応するんだ。
昼間、ドラゴンたちが起きている間に討伐に出たら、その鼓動を察知して、他のドラゴンも集まるだろう。
だから、夜のうちに退治するつもりなんだ。
寝ている間にやっつけられればラッキーだし、もし無理でも、他のドラゴンも寝てるんじゃ、気づくのに時間がかかるだろうしな」
「つまり、明日と言っていたのは、明日の朝、という意味じゃなくて、日付が変わった直後の、深夜という意味だったのか」
「日付が変わるって……今何時なの?」
モモが問いかける。
「月の場所から見て、10時過ぎだ。まだ時間はある」と、シオンが窓の外を確認し、叫んだ。
「ドラゴンの洞窟って、ここからどのくらいの場所にある?」
「丁度、徒歩2時間くらいだ。間に合う」
言い切るシオンに、俺は「行こう」と強く叫んだ。
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