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ルカと俺の声に、モモはグッと口角を上げる。
「私だって、二人に恩返ししたいもん。それに」
モモはそこで言葉を切り、後ろを振り返る。と、その瞬間、視界に一筋の光る何かがよぎった。
それはドラゴンの瞳に命中。「ギャーーー!!!!」と悲鳴が上がる。
「後方支援はお任せください、ルカ様!!!」
「シオンまで?!」
ルカは信じられないという口ぶりで、シオンを見る。
「ルカ、みんなお前を助けたくて、ここまで来たんだ。
こういうのが、本当の友達、なんだろ?」
ルカの眼に、刃の光が反射する。
澄んだ、真っすぐな眼。
少し陰っていた彼の瞳に、出会ったころのような輝きが宿った気がした。
そう、この目だ。これでこそ、ルカの目だ。
俺は、この瞳を汚したくない。
誰かのためにこき使われて、ボロボロになっていくのを見たくない。
一瞬、昔のいじめられっ子を思い出す。
全然シチュエーションは違うはずなのに、あの時の気持ちが心の底からあふれ出す。
守りたいんだ。友達を。
そのために俺は、戦うんだ。
目を射抜かれた痛みからか、ドラゴンは、めちゃくちゃに足や尻尾を振った。
前衛のルカ、モモ、そして俺は、その攻撃を、跳んだり、かがんだりしながら、なんとかかわす。
「ルカ、何かわかるのか?このドラゴンの弱点」
俺が大声で尋ねると、ルカは叫び返す。
「うろこは固くて、電気が効かない。
けれど、うろこで覆われていないところは効くらしい。
爪とうろこの間とか、うろこの生えていない腹、あと、シオンが打った瞳とかは弱点みたいだ」
なるほど。
でも、さっきルカが爪と皮膚の間を攻撃したが、反応はイマイチだった。
シオンも目を射抜いたが、ドラゴンはいまだに倒れてはいない。
つまりは、1人ずつの攻撃がそれぞれヒットしてもダメなのだ。
「同時に攻撃を仕掛けよう!
一斉に、ドラゴンの体に電流を流し込むんだ。そうすれば威力も4倍だし、倒せるかも!!」
俺が叫ぶと、すぐさまシオンが、「では、俺はもう一度目を狙う!」と応じる。
「じゃあ、私は足の爪を」
するとルカが「キョー!!」と大声で俺を呼ぶ。
「一緒に、ドラゴンの懐に入ってくれ!!
腹を二人で突けば、いけるかもしんねー!」
俺は「あぁ」と答えて、ドラゴンの横に回る。
しかし、一斉に攻撃、というのは、そう簡単にいくものではなかった。
特にドラゴンは、先程矢を打ち込まれたこともあって、再び矢が目に当たることをかなり警戒していた。
シオンが矢を何本も放つも、ドラゴンはすぐに尻尾や爪で矢を叩き落とす。
めちゃくちゃに暴れるものだから、爪とうろこの間を狙うモモも、中々槍を突き立てられない。
一方で俺とルカも、お腹を守るように地面に着けるドラゴンの懐に、中々入り込むことができなかった。
「……ダメだ。このままじゃ埒があかない。
上から下に、矢を打ち下ろすことができれば、威力も高まるだろうが……」
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