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ちなみにサポーターは、付けたままこっちの時代に帰ってきてしまった。
家に着いて、洗面所で服を着替えている時に、持ってきてしまったことに気がついたが、もう遅い。
俺は結局、風呂場でそれを洗い、そっと、自分の部屋の引き出しに入れた。
この時代の人たちにサポーターの存在がばれたら面倒なので、使うつもりはない。
まぁ、また村田みたいな酷い奴が現れたら、こっそり付けてしまうかも、だけど。
そして。次の登校日。
「お前、どこ行ってたんだよ!!」
「みんな、心配してたのよ!!」
教室に入ると、皆に囲まれ質問を浴びるルカがいた。
ルカは、みんなの中心で、へへっと悪びれた様子もなく笑っている。
どうやら、出会った時と同じ、明るくノー天気なルカに戻ったようだ。
俺は胸を撫で下ろしながら、机にそっとランドセルを置いた。
こうして、俺たちの日常は、再び回り始めた。
俺は普段通りの生活を送りながらも、ずっと心に引っかかっていることがあった。
それは、未来に置いてきたシスターのことだ。
あの後、シスターはどうなったんだろう。
村の奴らに捕まって、俺たちの行方を聞かれたのではないだろうか。
奴らは、彼女に、ひどいことをしていないだろうか。
考えても答えはでないのに、俺はふとした瞬間にそのことを思い出し、悶々としていた。
そんなある日。
放課後、ルカは皆からの遊びの誘いを断り、俺に声をかけてきた。
「この後、俺んちに来てくれよ!
大事な知らせがあるから」
「大事な知らせ?
今言えばいいじゃないか」
「いやいや。今言ったらスペシャル感がないじゃん。皆が集まった中で言いたいんだよ!モモ、お前も来てくれ!!」
「わ、私も?」
戸惑うモモを連れて、俺は学校帰りに、ルカの教会に立ち寄った。
キッチンの中には、この教会で住むことになったシオンが先に椅子にかけている。
ちなみに彼も、色んな手続きが終わり次第、俺たちと同じ学校に通うことになっている。
「お前たち、久しぶりだな」
顔を合わせた瞬間、シオンが立ち上がる。
俺は、「元気そうでよかった」なんて言いながら、ルカとシオンの向いに座った。
いつの間にかチビリューも、そっとルカのパーカーの胸元から顔を出している。
「で、大事な知らせって?」
俺が尋ねると、二人は目を見合わせて頷き、テーブルクロスの下から、一つの小瓶を取り出した。
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