4/5
前へ
/98ページ
次へ
ちなみにサポーターは、付けたままこっちの時代に帰ってきてしまった。 家に着いて、洗面所で服を着替えている時に、持ってきてしまったことに気がついたが、もう遅い。 俺は結局、風呂場でそれを洗い、そっと、自分の部屋の引き出しに入れた。 この時代の人たちにサポーターの存在がばれたら面倒なので、使うつもりはない。 まぁ、また村田みたいな酷い奴が現れたら、こっそり付けてしまうかも、だけど。 そして。次の登校日。 「お前、どこ行ってたんだよ!!」 「みんな、心配してたのよ!!」 教室に入ると、皆に囲まれ質問を浴びるルカがいた。 ルカは、みんなの中心で、へへっと悪びれた様子もなく笑っている。 どうやら、出会った時と同じ、明るくノー天気なルカに戻ったようだ。 俺は胸を撫で下ろしながら、机にそっとランドセルを置いた。 こうして、俺たちの日常は、再び回り始めた。 俺は普段通りの生活を送りながらも、ずっと心に引っかかっていることがあった。 それは、未来に置いてきたシスターのことだ。 あの後、シスターはどうなったんだろう。 村の奴らに捕まって、俺たちの行方を聞かれたのではないだろうか。 奴らは、彼女に、ひどいことをしていないだろうか。 考えても答えはでないのに、俺はふとした瞬間にそのことを思い出し、悶々としていた。 そんなある日。 放課後、ルカは皆からの遊びの誘いを断り、俺に声をかけてきた。 「この後、俺んちに来てくれよ! 大事な知らせがあるから」 「大事な知らせ? 今言えばいいじゃないか」 「いやいや。今言ったらスペシャル感がないじゃん。皆が集まった中で言いたいんだよ!モモ、お前も来てくれ!!」 「わ、私も?」 戸惑うモモを連れて、俺は学校帰りに、ルカの教会に立ち寄った。 キッチンの中には、この教会で住むことになったシオンが先に椅子にかけている。 ちなみに彼も、色んな手続きが終わり次第、俺たちと同じ学校に通うことになっている。 「お前たち、久しぶりだな」 顔を合わせた瞬間、シオンが立ち上がる。 俺は、「元気そうでよかった」なんて言いながら、ルカとシオンの向いに座った。 いつの間にかチビリューも、そっとルカのパーカーの胸元から顔を出している。 「で、大事な知らせって?」 俺が尋ねると、二人は目を見合わせて頷き、テーブルクロスの下から、一つの小瓶を取り出した。
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加