第零話

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そんなある日、バイト先に新人が入ってきた。そいつは俺より一つ年下の根っから真面目そうな奴だった。歳も近いし、時間帯もよく被ったのですぐ話すようになった。 だが宝石だとは明かさなかった。正体を知られると大抵引かれるから。 しかし、その作戦は呆気なく散った。 うっかり俺が品出し中に、段ボールに強くぶつかって手首が折れてしまった。運が悪く、その瞬間をしっかりと見られてしまった。 「…俺、身体が宝石なんだよね」   息を呑み、目を輝かせながら俺を見るその表情に、この身体でもいい事はあるもんだと初めて思った。
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