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第零話
生まれて間もない頃から嫌われていた。
母は父方の祖父母に酷く叱責され、顔を合わせる度に暴言を吐かれたらしい。それが嫌になったから、母は俺を産んだ後静かに家から出て行った、と子供の頃に父から聞いた。
「じゃあお母さんが出て行ったのは、おじいちゃんおばあちゃん達が悪いってこと?」
当時の俺は幼かったので素直に思った事を言ったら、
「違う。ちゃんとした身体で産まれてこなかったお前が悪い」
あんな他とは違う子産まなきゃ良かった、と母さんは泣いていたらしい。
「俺だってあいつと幸せに暮らしたかったんだ。二人で天使が来るかと楽しみながら待っていたのに」
長い間待ち望んだ挙句、出てきたのは石ころか。
父も、俺のせいで母が出ていって相当怒っているようだった。
父は再婚して、その女性と子供を儲けた。その子供は父曰く天使で、その子供と過ごす時間が多くなるにつれ、俺と真面目に口を聞いてくれなくなった。そして目障りだと悟ったのか、いつしか俺を無視し始めた。
祖父母は最初は俺の事を可愛がってはくれたが、やはりどこかよそよそしく、時が経つにつれ愛情は消えていった。
血縁関係はどうしようもなく終わっている俺だったが、友達作りに至ってはとても良好だった。小学生の時は同じクラスの子と仲良く話したり放課後一緒に遊ぶようになったり、他のクラスや学年とも遊びに行ったりした。
だが、段々と大きくなるにつれ疎外感を感じるようになった。
あいつは宝石で、俺らとは違うから。そう陰でコソコソと言われているのに気づいた。
卒業する頃には、離れても友達!!と言える奴はいなくなっていた。
それが怖くなって、中学生は誰よりも勉強や部活動に励んだ。お陰でクラスメートや先生に認めさせることができ、いじめは起こらずに済んだ。
だが、相変わらず友達と呼べる人は出来なかった。
高校生になり、好きに生きようと思った。
金が無いのでコンビニのアルバイトを始めて小遣い稼ぎをしたり、たまに学業に励んで成績優良者になったりした。空いた時間は読書をしたり音楽を聴いたりゲーセンに行く毎日を過ごした。
好きに生活するのはとても愉快で、充実な時間だった。
だけど、どうしても何かが満たされなくて。
それが何かは分からないまま、憂鬱な日々を過ごしていた。
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