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「おふぁよぉ~」
眠い目を擦り、玄関先に出ると「おう、まだ寝てんのか?」と大智が爽やかに笑っている。
全く、ずっと一緒にいるのに少しは見習え、と自分に言いたい。
「大智ってマジ偉いよな。課題もテスト勉強も計画的でさ」
「あー、もう習慣みたいなもんだから」
なんてことないように言うと、夕貴の背中を押して「ほら急げ。電車遅れる」と促してくれた。
「いつもごめん」
夕貴は申し訳なくなって言う。
「はあ?何言ってんだよ。今更」
「嫌じゃねえの?俺みたいのと友達で」
「バカ!怒るぞ!」
大智は、ポコと夕貴の頭を軽く叩く。
「だってさあ、他の奴らみんな言ってるよ?なんでお前が大智みたいなキラキライケメンと友達なの?って」
「なんだよ、それ」
大智はムッとしている。
「つまんなくないのかな、と思って」
「俺が夕貴と居たいの!他の奴の言う事なんか気にすんな」
駅について、二人で混み合う電車に乗り込んだ。
かたたん、かたたん…と揺られていると、カーブで電車がぐらりと揺れた。
「おっと、大丈夫か?夕貴」
大智に身体を支えられて、持ちこたえる。
これも毎朝のことだ。
身長も大きく肩幅も広い大智にいつも守られている。
それは代え難い安心感だ。
もし大智に彼女ができたら、さすがにこの座は、渡さねばならないだろう。
そう思うと少し寂しかった。
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