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ゆっくりと斜面を上がり、上がりきった所で一瞬止まる。
落ちる!と思った瞬間に藤堂が頬にキスをしてきた。
え?え?
何、今の不意打ち!
パニックになったままで一気にザザザーン!!と滑り落ちる。
水飛沫が上がり、藤堂は夕貴を庇って濡れてしまった。
「わ!大丈夫?ごめん!」
ポケットからハンカチを取り出すと
大丈夫だよ、と濡れた髪をかきあげながら、藤堂がこちらを見た。
あまりの色気にドキリとする。
そうっと髪を拭くと「ありがとう」と笑ってくれた。
___
「なんだよー、さっきのは」
降りて行くと、大智が待ち構えていた。
「え?見てたの?」
頂上でのキス?見えてたのか?
夕貴は、ドキドキして聞く。
「なんか庇ってたろ?水しぶきから」
「あー、うんうん。そうなんだ。それで濡れちゃったんだよ、藤堂。風邪ひかないかな?」
夕貴は、また心配になって藤堂の髪を拭く。
「大丈夫だよ。ありがとう。夕貴は優しいね」
藤堂が笑って言うと、大智は「そのくらいでひかないだろ」と睨んでいる。
「とりあえず、次、俺と乗るぞ」
大智が夕貴の手を引っ張って歩き出した。
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