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「ジェットコースターでもいい?連続だけど大丈夫か?」
「うん、いいよ」
なんとなく手を繋いだまま列に並んぶ。
少し照れくさくなってきて、そうっと離そうとすると、ギュッと更に強く握られた。
順番が来て、二人で乗り込む。
ガタンガタンと、ゆっくり上がり始める。
さっきより、もっと高く天に向かってゆく。
夕貴はジェットコースターは割に得意なほうだが、キュッと拳を握りしめていると、大智が手を握ってくれた。
「怖い?」
「や、大丈夫」
「そこは、怖いーって言えよ」
ハハッと大智は笑っている。
その瞬間。
あー、この顔好きだなあ…と夕貴の心が揺れる。
頂上で止まり「あ」という間にジェットコースターは、加速して滑り落ちてゆく。
「わあああー!!」
あえてデカい声で叫ぶのが気持ちいい。
「ゆーうーきー!」
隣で大智も叫んでいる。
「なーにー?!」
「好きだあーー!!大好きだあー!」
「………」
爆音の中、大智が叫んでいる。
「ずっとずっと好きだったんだあー!」
「大智…」
ガタガタと上がり、また落ちる。
何度も何度もカーブしたり、振り回されて、身体が左右に振れる。
けれど心の中は、しんとして、大智のことしか考えられなくなっていた。
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