255人が本棚に入れています
本棚に追加
大智と二人で観覧車に乗り込んだ。
ゆっくりと上昇し、景色が小さくなってゆく。
「おー、ジェットコースターがあんな小さい」
夕貴が少しテンションを上げていると大智が「ちょっといい?」と話し出した。
「さっきさ、藤堂と話したんだよね」
「うん、何を?」
夕貴は、大智のほうを見た。
「観覧車、どっちと乗るか決めてって夕貴に言おうって藤堂が言い出して」
「う、ん…」
なんでそんなこと…
夕貴は不思議に思う。さっきまでわいわいジャンケンして決めてたのに。
「藤堂がさ、多分夕貴は大智を選ぶよ、って…」
「そうなんだ…」
夕貴は、観覧車の上から藤堂と乗った急流滑りを見つけて、ついさっきのことなのに懐かしくなる。
「俺はさ、きっと夕貴なら三人で乗るって言うって言ったんだ」
「……そっか…」
「うん。それで…」
「バレてたんだ、俺が大智のこと好きってこと」
夕貴は言ってから恥ずかしくなる。
「ほんとに?」
大智は、夕貴の隣に移動してきた。
ぐらりと揺れて、夕貴は足を踏ん張る。
「俺、絶対敵わないって思ってたのに」
「好きの意味が違うんだよ。藤堂のことは好きだけど、大智は俺の人生に絶対必要な人」
「やめろよ…照れるだろ…」
大智は、目を逸らしたままで夕貴の肩をギュッと抱く。
ガタン、と頂上に到着した。
「あ、着いたね」
「うん…」
大智が夕貴の唇に自分のそれを重ねて来た。
「ん…」
二人で抱き合っていると、ガタン、と揺れて下降し始める。
夕貴が離れようとすると、更に抱き寄せられた。
「ん、ちょっ…大智…ダメだって…」
「俺が何年こうしたかったか、分かる?」
「……」
見つめあって、もう一度キスをした。
もう少しで、周りから見えるギリギリまで抱き合って離れる。
スリル満点でドキドキした。
最初のコメントを投稿しよう!