家族

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夕食の支度が出来るまで、ソファで菜々美とテレビを観ながら、アイスを食べた。 夕貴の好きなモナカにバニラとパリパリチョコが挟まっているアイス。 好物なのを知っていて菜々美は、よく買って来てくれる。 「あー、ほら零れてるよ、ゆうちゃん」 菜々美がティッシュで、溶けたアイスを拭いてくれる。 「んー」 精神的に疲れたせいもあり、されるがままだ。 「どしたの?学校でなんかあった?」 「いや、別に」 「何ー?告白でもされた?」 ぶっとモナカの欠片を吹き飛ばしてしまった。 「やだあ!告白されたの?どんな子?ねえ、教えてよー」 グイグイとTシャツの襟元を引っ張られ「違う違うー!」と否定した。 「おかーさーん!ゆうちゃん告白されたんだって!」 菜々美がキッチンに向かって叫ぶ。 「だから!違うって!」 「えー、だってさっき明らかに動揺してたもん。姉ちゃんの目は誤魔化せないよ」 キラリ、と菜々美の瞳が光る。 昔から夕貴は、この目に嘘がつけない。 「あの、さ、告白ってか。好みのタイプって言われたの」 「わあ!それって告白と同じよね?で、どんな子?」 「…男…」 「は?」 「だーかーらー、男に言われたの」 言いながら情けなくなってくる。 なんで、こんな恥ずかしい事を晒さなきゃならないんだ。 「へ、へえ…良かったね…」 菜々美は申し訳なさそうに言うと、テレビのリモコンを取り、無意味にチャンネルを変えだした。 だから言いたく無かったんだ。 そう言いかけて我慢した。 「はあ…もう…」 「けどさあ、相手が誰でも好かれるのはいいことだよ、うん」 菜々美は、独り言のように言うと、キッチンのほうに手伝いに行ってしまった。 「ほらほら下らないこと言ってないで。ご飯出来たわよ」 アイスの空き袋をゴミ箱に捨てて「はーい」とテーブルに着いた。
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